今回は稽古前の準備について紹介していきたいと思います。
台本を配られて配役を発表されたあとに数日後稽古が始まるわけですが、この時に色々やらなければいけないことがあります。
そもそも稽古をする前に準備が必要なのか?と思われるかもしれません。
そうです。稽古前に準備をすることは結構あるのです。
なぜ稽古前に色々準備しなければいけないのかというと、よく言われることではありますが、
『稽古というのは練習ではなく、役者が準備してきたものを発表する時間である』ということを言われます。
簡単に言うと練習は他でやってきて稽古で演出にみせてほしいと言われます。
練習したものを稽古で発表するという感覚です。
時間が無い時に無茶苦茶なと思うかもしれませんが、準備が無い状態で稽古に臨んだ場合稽古が進まないということがあります。
役者側である程度打合せをしてプランや方向性を組んできたほうが演出がつけやすいからです。
そうでなければ役者がどうしたいのか?ということがみえてこないために演出がつけづらいということになります。
重複する部分はありますが、なにを準備すればいいのか?ということをここでは紹介していきましょう。
台詞を覚える
わかりやすいところで言えば台詞を覚えてくる。というのが挙げられます。
台詞を覚えるなんて当たり前じゃないか。と思うかもしれません。
覚えることは当たり前のことですが、なるべく短期間で覚えたほうがいいです。
台本をもらってからの日数にもよりますが、理想を言えば稽古初日から覚えていたほうが望ましいです。
台詞を覚えていないと台本をもった状態で立ち稽古をすることになります。
台本をもつ状態と台本をもたない状態でおこなった場合感覚がだいぶ異なります。
台本はなるべく早く手放したほうが有意義な稽古をすることができます。
最低限お芝居ができていることは前提ではありますが台詞覚えが早いと、仕事できるなあという目でみられます。
そして何より本番で台詞を忘れる、つまり台詞がとんでしまうということを防ぎやすいのです。
台詞をとばすのはめちゃくちゃ怖いです。
時と場合によってはまわりもフォローができないです。
台詞がとんだせいで焦ったために自分のお芝居に支障をきたす場合があります。
そしてどんなに観客がお芝居に魅入っていたとしても、一瞬で現実に戻してしまうという最悪の一手にもなりうるのです。
というわけで台詞はできるだけ早く覚えたほうがメリットが大きいのです。
台詞を覚えるためのポイントをいくつか挙げておきますので参考にしていただけたらと思います。
[box class=”blue_box” title=”台詞覚えのポイント”]声に出して読む[/box]
できる限り声に出して読むようにしてください。
台詞は声に出して読んだ方が黙読するよりも記憶が定着します。
[box class=”yellow_box” title=”台詞覚えのポイント”]速度は2倍速以上点や丸で区切らないように読む[/box]
読むスピードは限りなく早くしてください。
脳に不可をかけることにより、覚えるスピードがはやくなります。
点や丸を無視して読むことは癖をつけないために必要なことだからです。
癖がついた場合、演出家に変えるように要求された時に修正するのが大変だからです。
台本を持たずに2倍速以上で読めたらほぼほぼ本番で忘れないようになります。
[box class=”red_box” title=”台詞覚えのポイント”]ボイスレコーダーで録音する[/box]
ボイスレコーダーを使って台詞を録音すれば、隙間時間にでも聞いて台詞を覚えることができます。
自分の声を客観的に聞くことができます。
自分が聞いている自分の声と、録音された声は大分違います。
最初は物凄く違和感があります。ええ?!自分の声ってこんな声なの?と思ってしまいます。
しかし客観的に自分の声を聞くということは必要です。
他の人にはこういう声で聞こえているんだなということはわかることが重要なのです。
キャラクターの履歴書を作成しておく、近しい関係性の場合はすり合わせをしておく
以前のブログで説明しましたが、
自分があたえられたキャラクターの履歴書を作成しておいたほうがお芝居はかなりやりやすくなります。
履歴署というと職務履歴書を思いうかべますが、もっと細かいものを創造していただければと思います。
年齢、性別、家族構成、小学校、たくさんの思い出、信念、トラウマなど細かく掘り下げて人生を作成てください。
こちらは最優先事項でやっておいたほうがいいことです。
また役(キャラクター)の履歴書がある程度固まってきたら、近しい人物と設定をすりあわせてください。
夫婦、親、兄弟、姉妹、友達、などなどそれぞれ共通で知っていなければいけないことがあります。
例えば「ロミオとジュリエット」でいえば
ジュリエットの父はキャピレットといいます。
当然娘のジュリエットと父キャピレットがともに過ごしてきた時間があるわけです。
お互いが過ごしてきた時間でどんなことがあったのかそれについてどう思っていたのかということを話しあうだけでも関係性が近くなります。
簡単にいうと親子の雰囲気がにじみ出るようになります。
こちらは1人ではできないことなので、相手の役とコミュニケーションをとる必要性がありますがお芝居をするうえでやっておいたほうがいいいことではあります。
詳しいやり方に関してはこちらの記事に掲載しております。
よろしければご覧くださいませ。
世界観に関してメンバーで話し合う
こちらはできることならばやっておいたほうがいいことではあります。
台本によって世界観というものは異なります。
現代日本が舞台であれば共通認識を持ちやすいとは思いますが、
中世ヨーロッパ、戦国、江戸、異世界ファンタジー、未来など10人いたら10人バラバラの認識を抱いてしまいます。
それらを統一する話し合いが必要になってくるのです。
戦国時代の農民のお話であればどのような生活をしていてどのような文化を構築しているのか話し合うだけでも統一感がとれます。
話し合うことによって一体感を得られやすくなります。
一体感があったほうがお芝居全体における説得力は増すのです。
全体をとおして作品のメッセージのパワーがあがりより伝わりやすくなります。
1人芝居ではないかぎりお芝居はチームで作りあげるほうがメリットが大きいのです。
というわけで役者同士の話し合いはかなりの重要度を占めてきます。
まとめ
いかがだったでしょうか?お芝居における稽古をはじめる前にそれなりに準備が必要になってきます。
ある程度スキルをあげれば感覚でできるようになってきますが、お芝居をはじめた当初は準備することがとても重要になってきます。
役者がしっかりと準備をすることによって稽古の進行がスムーズにいき、いい演出がつけやすいです。
時間の確保は中々難しい部分がありますが大事にしていきたい部分ですね。