今回は演技上達方法ということでやってはいけないお芝居について考えていきたいと思います。
厳密に言うと表現というものは自由であるべきなのでやってはいけないお芝居というものはありません。
しかし、舞台、映像、アテレコも自分1人でやっているものではなくある意味総合芸術なのです。
完全に自分でプロデュースした1人芝居ならば別かもしれませんが自分だけで勝手にできない部分もあるのです。
今回記事にしたお芝居をやった場合、
言い方はよくないけれども大根役者としてみられてしまうかもしれません。
あくまで僕自身の体験や、たくさんの役者さんをみてきた中での自分目線での見解ですが、デメリットが多いのです。
お客さんに好かれなかったり、役(キャラクター)としての存在感が無くなったり、役(キャラクター)の言いたいことが伝わらなかったりといいことないんですよ。
ここで紹介することは反面教師として認識していただけたら幸いです。
またやってはいけないけれどもそれでも成立させる場合はどうすればいいかということも考察していきます。
そちらも含めて考えていただけたらと思います。
やってはいけない下手な演技
それではこちらでは、やってはいけないお芝居というものを紹介していきましょう。
以上のことを参考に反面教師にしていただければと思います。
段取り芝居
段取り芝居というものは、その名の通り全ての演技を段取りで行うことです。
怒っていないけど、怒りの台詞が書かれてあったから怒る振りをする。
移動しろと指示されたから移動するなど台詞も動きも全て段取りの状態です。
このお芝居の何がいけないのかというと、観客側に一切何も心に響かないのです。
段取りでは人は感動しません。段取りは必要なことではありますが嘘なのです。
大原則として舞台上で嘘は厳禁です。
観客は舞台のキャラクターが生きている姿を観て感動したり、悪役などを嫌悪することができるのです。
演技というものは嘘では駄目なのです。
虚構の世界で嘘を行うと嘘の上塗りになります。
このお芝居を成立させるためには、かなり難しいのですがビジュアル重視でしか成立しえないかもしれません。
きれいな動きやきれいな身体で魅せていくイメージです。
演技では段取りをいかに段取りでなく魅せるのが大切なのです。
きっかけを守らない
段取りはいけないということを書きましたが、守らなければいけないことはあります。
所謂『きっかけ』というものです。
舞台での話になりますがきっかけというのは、照明効果や音響効果、演出効果が挿入される段取りです。
照明や音響がはいる台詞や動きはどんなに気持ちがのっていなくても間違わず同じように言わなければならないのです。
スタッフが絡むきっかけは守らなければスタッフの方達によく思われません。
必ず守らなければいけない段取りはあるということを覚えておいてください。
理想を言えば段取りにせずにきっかけ含めてお芝居とした生きた言葉動きにできると素敵です。
先読み芝居
先読み芝居と言われているお芝居です。段取り芝居に近いものがあります。
役者は台本をもらって台本を読みます。
つまりストーリーの始まりから結末までを知っているわけです。
しかし役(キャラクター)はストーリーとかは知りません。
次の瞬間何が起きるか知る由もないのです。
役者と役(キャラクター)はある種の矛盾を抱えながら演じなければいけないのです。
例えば
会社や学校の帰りに1億円が落ちていて拾ったとしましょう。
普段ありえないことなのでそこには激しい感情が沸き起こると思います。
しかし仮に1億円を拾うことを知っていたら、そして仮にそれが日常茶飯事だった場合、たいして激しい感動などは無いと思います。
役(キャラクター)として一寸先は闇の状態でいなければ自然なリアクションや自然な反応はとれなくなってしまいます。
よくお芝居をはじめた人にあることですが、
まだしゃべりだして無いのにしゃべる人の方を先読みして振り返るとかよくやりがちです。
まだしゃべってないのに・・・予知能力者じゃないんだから。
ということは結構ありがちです。
「待て!」という台詞があったとします。そして言われた人が立ち止まるというシーンがあるとします。
その場からいなくなる人を止めるための台詞ですが、
その人が立ち止まることがわかっている場合はこの言葉にリアリティーが無くなってしまうのです。
なぜなら台詞を言ったら立ち止まるということがわかっているから言葉に力が無くなるのです。
立ち止まってほしいから、行かせたくないから「待て!」という言葉をかけなければいけないのです。
先読み芝居が成立するのは予知能力をもっているとかそういう設定が無いととても厳しいのではないかと僕は思います。
それだけ制約が多い芝居形態なのです。
声優芝居
声優さんを決して悪く言うとかそういうつもりはなく、声の音の高低差に頼ってお芝居をしてしまう状態です。
演出家さんが「台詞を歌ってる」という駄目だしが出た場合はこちらに該当することが多いです。
しかし初めて演技をやる時はわけがわからないので、「台詞歌ってるよ!」と言われても何が悪いのかよくわからないことが多いのです。
どういうこと?って考えてしまいます。
感情がないまま抑揚をつけようとしているお芝居のことを指します。
基本的に演技において重要なのは感情になります。
舞台上の役(キャラクター)は抑揚をつけようなどとは考えないです。
役者が声優芝居をしていると、観ている人は苦痛に感じる場合が多いのです。
声優芝居が成立する時というのは、声に関しての高い修練とスキルが必要です。
それも2、3年訓練した程度ではなくもっと長い期間訓練され続けたスキルが必要になってきます。
声優志望の場合はまだいいのですが、声優を志す場合も感情を重視した演技をした方が仕事に幅がききやすいです。
声に関してのスキルをあげることも大事ではありますが、基本的に演技というのは感情やメンタルが重視されるということを覚えておいてください。
イケメン芝居
こちらの言葉はあまり使われないかもしれません。
演出家さんが俗に言う「舞台上でカッコつけるな!」というダメ出しがこちらのお芝居に該当します。
悪い言い方をすると演じている自分のお芝居に酔っている状態です。
演じている自分はカッコいいと思ってお芝居するとこのようになりがちです。
ナルシストの人に多い傾向があります。
人にみられる仕事をするという点ではある程度のナルシスト性というのは必要になってきます。
ただし基本的な考え方としては
お芝居は自分を良くするよりも相手を良くするためにはどうすればいいか?シーンを良くするためには?作品を良くするためには?
という考え方をしたほうが最終的に自分のためになったりします。
ちなみにイケメン芝居が成立する場合は美男美女のみです。
ここでいう美男美女の定義というのは自分を知らない100人中90人が美男美女と認めてくれている場合です。
顔の造りが整っているだけではなく雰囲気なども含みます。
ちなみに美男美女というのは自分が持っているリソースです。
持っている人は存分に有効活用すればいいし、
逆に持っていない場合は文句を言ってもしょうがないので、それ以外の強みを発見して自分の勝てる領域で戦っていくことをおすすめします。
美男美女じゃなくとも自分の強みというのは必ず存在します。
演じることを通して自分の強みを発見することはとても大事なことになってきます。
強みを発見するタイミングは人それぞれかもしれません。そういったことも含めて考えていただけたらと思います。
正面芝居
こちらは舞台での話になりますが、舞台用語で舞台からみて観客席側をツラと呼びます。
お客さん側を意識した芝居を正面芝居といったりします。
観客を意識するのは悪いことではありませんが、ツラ側を向いてお芝居をする場合はある程度明確な理由が必要になってきます。
観客やお客さんという概念は役(キャラクター)にはありません。
正面を向く理由が無い場合無意味な正面芝居と言われる場合があります。
演出家さんの指示がある場合はまた別ですが、それでも風景、景色を見まわすというお芝居が必要になってきます。(他にもやり方はあります)
使いどころさえ間違わなければ効果的なので正面をみてお芝居をする場合は色々と考えなければいけないのは確かです。
まとめ
今回はデメリットが多い大根役者と言われかねないお芝居とは何か?というものを今回はまとめてみました。
表現に正解不正解というものはありませんが、状況によってはマイナスに働くことが多いのも事実です。
使いどころを間違わなければ武器になる場合もあります。
反面教師としてこれは避けておこうという考え方もありなのでぜひとも活用していただけたら嬉しいです。