人間は生きていく過程で身についていくことがあります。
それは癖というものです。
代表的なものは猫背ですね。
一般的に言って猫背は良くないことだと言われております。
猫背を放置すると身体がどんどん歪んてきて姿勢がいい人よりも負担がかかる構造ですからね。
お芝居の世界でもあまり肯定的に捉えられません。
お芝居をしていて姿勢が悪いよ!というダメ出しをうけたら猫背という癖があるんだなあと思ってくれればいいです。
癖は厄介なもので生きている過程で身についていくものであります。
身体にしみついているために修正するのが大変です。
かくいう自分もお芝居をはじめたばかりのころは猫背を治すために常に鏡でチェックしたり柔軟運動を重点的にやったりしたものです。
姿勢が悪いと耳タコなくらい言われたものですから見返してやろうという気持ちでいっぱいでした。
あまりにも言われすぎてうんざりしたころ・・・ふと思いました。
『本当に・・・猫背は悪いものなのか?癖というものはいけないものなのか?』
このように思ったのです。
今回は人のもっている癖、しゃべり方や動きや立ち姿などをとりあげてどう生かしていけばいいのか検証していきましょう。
[voice icon=”https://yakusyanomiti.com/wp-content/uploads/2019/03/download20190306170622.png” name=”演技講師センパイ” type=”l big”]今回は人それぞれがもっている癖というものについて話していこう![/voice][voice icon=”https://yakusyanomiti.com/wp-content/uploads/2019/03/download20190306170146.png” name=”演技初心者コウハイ” type=”r big”]癖っていうのはよく姿勢が悪いとか訛ってるーとか注意を受けるやつですか?害悪としか思えないんですけど・・・[/voice][voice icon=”https://yakusyanomiti.com/wp-content/uploads/2019/03/download20190306170622.png” name=”演技講師センパイ” type=”l big”]一概に癖は悪いものではなく、むしろ使い方によってはとてもいいものになるんだよ。それも踏まえてみてみよう![/voice]癖は悪いものではなく個性
癖というものは悪いものとされておりますが実は違います。
癖はその人しかもっていない個性なのです。
まず悪いものだという認識を改めることからなおしていきましょう。
頭ごなしに悪いものであるからただただ修正するということをすればある意味もったいないことになってしまいます。
癖はその人の個性であり特徴でもあります。
そして癖というものは色々とあります。
例えば日常生活で腕をくんだり、どもったりするのもその人間が生活してきたなかで身につけてきた技術です。
その人にとって最も違和感なく自然にできることなのです。
癖を有効的に活用する方法とは?
それでは癖を演技で友好的に活用する方法をここでは紹介していきましょう。
姿勢が悪い=猫背で考えていきましょう。
猫背であることは立ち姿がかっこ悪く見えてしまうというデメリットがあります。
小者感が増してしまうのです。
逆にいえば弱そうな役、社会的にステータスが低い役や小物感が溢れる役を演じる時はとても役にたつのです。
このような考え方をもっているだけで自分がもっている癖を有効的に使うことができるのです。
方言なども武器にすることができます。
地方出身者だと台詞を読む時にイントネーションに癖があったりして、修正するのが大変ではあります。
しかし津軽弁などをバリバリ訛ってしゃべることができたらとても面白いです。(何言ってるかわからないレベルで)
訛ってしゃべった瞬間にその役(キャラクター)を際立たせることが可能なのです。
お客さんから観るとああ、この人は東北方面の出身なんだなあと思わせることができます。
方言に関して言えば相当うまくしゃべれるレベルでないとあまり使えないかもしれません。
例えば関西弁をしゃべれない人が無理やり関西弁をしゃべるとします。
正確なイントネーションが異なるために関西地方の人はかなりの違和感を覚えるそうです。
無理やりしゃべろうとするのは癖とかではありません。
自分の癖を把握しておくこと、それを使いこなすことが重要です。
自分にはこういう癖があるんだなあと自覚してここぞという時に使うのです。
癖は修正しなくてもいいわけではない
癖が悪いものではないと明言してきましたが、修正しなくてもいいのかというとそういうわけではありません。
姿勢が悪いと、立ち姿が汚くなってしまいます。
とても見栄えが悪いのです。
見栄えが悪い状態でいい台詞を言ったとしてもきまらないのです。
大事なことは姿勢がいい状態も悪い状態も使いわけができるということです。
「今回与えられた役(キャラクター)は老人で小悪党で小者だから姿勢が悪い状態でいよう」
姿勢が悪いと見栄えが悪くなる見栄えが悪くなったほうがキャラがたつ。
このような思考ができることが重要なのです。
姿勢に限らず全ての癖に対してこのような考え方をするとキャラクターがより深くなってきます。
まとめ
僕は地方出身だったためにかなり訛っていました。
訛っていたために台本を読む度にイントネーションを修正されました。
意識して意識して意識しまくった結果訛らなくなりました。
訛らなくなったのはよかったのですが、訛ろうとしても訛れなくなったのです。
訛ろうとしたら違和感が残るのです。
今思えばもったいないことをしたものです。
イントネーションが違うことをよくないことだと思い、ただ修正したために大事な武器を失った瞬間でした。
癖というものは人それぞれの武器なのです。
修正してなおすのではなく、自由に出したり出さなかったりできるようにすることが大切です。
自分にはどのような癖があるのだろうかということを考えてみてください。
そして自分の癖を把握してください。
それが演技を深める要素になるのです。