舞台だけではなく、映像やアテレコなどにも台本というものはついてきます。
この台本を読み解くためのポイントがいくつかあります。
今回はお芝居はじめて間もない人の台本読解のやり方を記事にしていきたいと思います。
演出家さんから「生きた言葉になってない」、「会話になっていない」というダメ出しが出てきたとき、
原因はいくつかあるけれども、考えられる可能性は台本の読解が浅いか間違っている場合があります。
今から紹介するやり方は考え方の一つとしてですが、何かしらのヒントが得られれば嬉しく思います。
それではいくつか紹介していきます。
演技でやってはいけないこと
台本読解の前に知っていてほしいことがあります。
以前も書きましたがもう一度書かせていただくと、演技でやってはいけないことは嘘をつくことです。
役者さんは役にリアリティ(リアルではなく)をもたせなければいけないのです。
役にリアリティをもたせるというのはわかりやすく言うと説得力をもたせるということです。
そうしないと何がまずいのかというと、お客さんの共感が得られないのです。
演技の世界は虚構の世界です。その虚構の世界でリアリティがなければ役(キャラクター)の台詞と行動に共感が得られないために最終的にお客さんが感動しないということになります。
嘘くさい演技と言われてしまいます。
行動も台詞も含めて嘘をつかないことが大事になってきます。
悲しくないのに「悲しい」と言っては決していけないのです。嬉しくないのに嬉しいと言ってはいけないのです。
それだとお客さんが舞台や映像にめりこめない、集中できない原因になってしまいます。
台本読解を通してこの嘘をつかないためにはどうすればいいのか?という質問に対して色々な角度から検証していきましょう。
どうしてこの台詞を言うのか?
演技で嘘をつかないためには色々な方法があります。
これをやっておけば間違いないという完璧な方法というものは存在はしません。
しかし比較的正しいと思われる方法はあるので今回は台本読解、主に台詞の読み方について紹介していきましょう。
演出家や監督のキャスティングにより役をふられます。
当然台本には自分の台詞があります。
中には台詞の無い役もたまにありますが、ここでは台詞があるという前提で話を進めていきます。
なぜ自分の役はこの台詞を言っているんだろう?と考えてください。
これはどういうことかというと、普段僕たちは日常を生きていて言葉を発するし行動もします。
その場合は意識、無意識に関わらず心の衝動からくる理由をともなっているんです。
わかりやすく言うと人間の行動や言動には理由があるということです。
例えば「マックいこうよ」という台詞があるとします。
この台詞にも様々な内的衝動からくる理由が隠されていたりします。
考えられるのは
・お腹すいた。
・マクドナルドに行ってしゃべりたい。
・新発売のハンバーガーが気になる。
・コミュニティのグループ内に気になる人がいてさりげなく誘いたい。
人間の感情は単純ではなく、様々な思いが内包されております。
もちろん立場や設定、シチュエーションにより違ってはきますがこのように自分の台詞を分析していきます。
もしも演技がうまくいっていない時は、自分の中に台詞を言う内的動機があやふやだったりするのです。
自分の中で台詞に正当性が無ければ台詞を言うことや演技として行動することは難しいことなのです。
生きた言葉を言えるようになるための方法ではありますので、試してみるといいかもしれませんね。
ただ全てのことに理由づけをする必要はありません。
お芝居初心者の方はやった方がいいかもしれませんが、慣れてきたら必要な箇所がわかってきます。
極端に言うと理由づけが無くてもセンスのある人ならばできてしまいます。
大事なのはこの理由付けがあることで自分がお芝居をやりやすいかどうかということです。
中々お芝居がうまくいかないという人は、常になぜこの台詞を言うのか?という問いかけを自分の中にしていくことが大切となってきます。
台詞だけではなく動きにも適用されます。
舞台上でどう動いたらいいのかわからないというときにもこの理由づけが適応されます。
私たちが何かしら行動するときはつきつめればそこには理由があるからです。
なので舞台で演出家さんに動きを指示されたときに、動きにも理由づけができるととても楽に動くことができます。
心の声を作る
ある程度台詞や動きに理由づけができた次の段階として台詞と動きに心の声を台詞として作ってください。
例えば「おはよう」という台詞があったとします。
ただの挨拶の「おはよう」と、きまずいことがあったのでそれを誤魔化すために言った「おはよう」ではニュアンスが大きく異なります。
またそれを言う相手の関係性や立場によってもまた変化していきます。
家族と職場の部下に対してニュアンスは違いますのでそれらも考慮してください。
例えば舞台上の動きでいうならば顔をそむけて「ごめんなさい」という台詞があったとすると
台詞「ごめんなさい」
心の声「この人に対していたたまらない気持ちになったために顔を背けたいけど謝罪の気持ちはある」
というように本来の台詞とは別に設定していくとまた演じやすさが変わってきます。
決めすぎない
台詞や動きの衝動、内的動機や心の声などを分析していくのは大事なことですが、決めすぎない方がいいです。
決めすぎると慣れてきて段取り芝居になってきます。
また、演出家の方針の変更にも対応できなくなってきます。
お芝居で絡む人によって自分のお芝居が変わらないという危険な状態になってしまいます。
お芝居をつくるうえで新しい気持ちが発見できたら変えていくくらいの柔軟性をもたなければいけません。
台演技のセンスのある人とセンスの無い人の違い
まずはセンスって何?という感じですが
ここでは明確に演技のセンスがある人無い人の明確な違いをわかりやすい例であげてみます。
まずは演技のセンスが無い人で演技ができる人
「この台詞は、お兄さんと小さい頃に温泉にいった思い出からきてます。
なおかつこのキャラクターは小さい頃のトラウマがあってそれを乗り越えようとしているけれども、乗り越えられない自分に対して嫌気がさしています。
だからここで相手からこの台詞を言われていたらどうしようもなく切なくなってしまうのです」
全部が全部このように考えているわけではありませんが台本に対してかなり分析している人です。
対して演技のセンスがある人は
「台本にこうしろって書いてあるじゃん」
「演技しているとき?なんも考えてないよ。」
悔しいですが、お芝居のセンスのある人はほんとにこういう言い方をしてきます。
しかしセンスのある人に共通して言えるのはできない人に教えるのは苦手な傾向にあるということです。
できない人がなぜできないかをわかりやすく言語化できないという人が多いです。
一概には言えませんが指導者に向いてるのは演技のセンスが無い人だったりします。
できない人に対してできない理由が明確にわかるという場合が多いのです。
良い悪いではありません。
ただ気を落とさないでほしい部分は、センスのある無しに関わらずお芝居をすることは可能ということです。
ちょっとした工夫と手間暇をかけるかかけないかの違いなのです。
まとめ
今回は台本読解という観点から演技をすることができる方法を考察してみました。
舞台上では嘘をついてはいけない。
その嘘をつかない場合はどうすればいいのかを台本読解のポイントをとおしてまとめてみました。
まだまだ演技ができるようになる方法は他にもあるのでまた他の記事でも紹介していきたいと思います。