今回は役者同士でディスカッションをおこなう意味と仲が良くないとお芝居がうまく行きにくい理由について考察していきたいと思います。
ディスカッションというと固く身構えてしまうかもしれませんが、要するにしっかりと話しあうということです。
お芝居初心者の人達はこの役者同士のディスカッションをとばしがちになってしまいます。
そもそもお芝居をするのに話し合いをする必要性があるのでしょうか?という考え方もあるかもしれません。
僕は話し合いはそれなりに必要だと思っております。
ある程度高いスキルをもつもの同士であれば初めて会った状態だとしても稽古をしながら方向性を定めることも可能です。
しかしお芝居初めて間もない人同士の場合はそれはなかなか難しいことだと思います。
というわけである程度お互いの演技プランのすり合わなどを話しあったうえで稽古にのぞむべきですが、いったい何を話せばいいのかわからないという人もいるかもしれません。
例外はもちろんありますが、話し合っておくと格段に稽古がやりやすくなることが諸々あります。
また話し合いを設けることでメリットを生み出しますのでいくつか紹介していきましょう!
個々の設定を共有することが大事
役者同士の話合いというのはとても大事なものだということがわかった。
でも何を話したらいいのかわからないということがあるかもしれません。
お互いにとって有意義な話し合いにするにはどうすればいいのか?
ということをここでは詳しく考察していきたいと思います。
まずは以前もブログで書きましたが、台本を配られて役(キャラクター)を与えられた際にはキャラクターの履歴書を書いてくださいと紹介しました。
それぞれ個々に作成した履歴書をもとに情報のすり合わせをおこなっていただきたいのです。
親子、兄弟、姉妹、夫婦など設定上近しいもの同士は特にこの役(キャラクター)のすり合わせが重要になってきます。
また設定上幼馴染であったりしてもこの情報を共有することが大事になってきます。
例えば兄弟の設定を例にだすとこの兄弟の出身地は徳島県だったとします。
いざ演技を始める前に確認してみたら
兄「おれ、福島出身だと思ってた。」
弟「僕は出身は北海道だと思ってました。」
この地点で兄弟の設定に矛盾が生じています。一緒にずっと住んできたのにも関わらずどういうことだ?
というふうになってしまいます。
今例えにだしたものはとても極端な例えですが、
設定に齟齬が生じる場合はお互いに感じている空気感がちぐはぐになってしまいます。
というわけでそれぞれ個々に決めた設定のすり合わせはできるだけしたほうがいいのです。
そもそも考え方は十人十色で、自分が考えたことが相手も同じことを考えているということは思わないほうがいいのです。
そしてこれが関係性の輪が広がり、例えば家族であればその家族間でしか知らない設定も話し合う必要がでてきます。
もしも家族で旅行に行ったエピソードがあるならばエピソードは共有していないと個々の雰囲気がバラバラになってしまいます。
関係性が広がれば広がるほどに共有しなければいけない情報が多くなってきます。
学校の演劇部のお話であるならば、どんな学校?クラスは何クラス?学校の場所は?演劇部で使用している教室はどこ?
このような設定をみんなで共有しなければなりません。
正確に言えばしなければいけないということはなく、できるだけやったほうがいいことではあります。
全員が時間を合わせて集まり、話し合いに時間を使うというのはとても抵抗感があるからです。
そしてある程度高い演技のスキルをもつ人であれば感覚でつかめてしまうからです。
しかしやったほうが演技はやりやすくなりますし、どんなに高いスキルをもっていたとしても最低限の設定は共有した方がいいのです。
世界観の共有について
次は作品の世界観の共有について考察していきます。
世界観の共有というのはつまり、作品の世界の情報を共有することです。
お芝居をすることは架空の世界に生きるということです。
生きているということは架空の世界の情報を正確に把握していなければいけないのです。
台本の内容が現代日本であるならば共有はしやすいとは思います。
日本という国の状態は?政治は?宗教は?私たちはどんな生活をしていてどんなものを食べているなどは想像しやすいのではないかと思います。
しかし現代日本ではなく過去や未来、戦国、ファンタジー世界や別世界や別の国という設定になるとなかなか想像するのは難しいのではないでしょうか?
その世界に生きる人達はどういう生活をしているのか?どういう物を食べているのか?信じている宗教は何なのか?など考えて共有しなければいけないのです。
情報を共有していけばその世界を生きるということに説得力が増していきます。
統一しなければ方向性がバラバラになってしまいがちになります。
ある程度台本と演出家の意図を組める役者ならば稽古をしていくうちに合わせていくことが可能です。
しかしお芝居を初めて間もない人はなかなか難しいとは思いますのでこういったディスカッションをすることは大事になってきます。
仲が悪いといいお芝居はできないのか?
次に仲が良い悪いというのはお芝居に影響するのか?ということを考察していきたいと思います。
すべてが該当するわけではありませんが、仲がいいほうが演技はしやすいです。
演技というのは自分1人では決してできません。
1人で成立する場合はもはやそれは1人芝居になってしまうからです。
スポーツでいうとチームスポーツの感覚に近いかもしれません。
キャストが10人ならば10人で作品を創作していく、そういう意識が必要なのです。
ある程度言いたいことを言える関係性であったほうが演技の方向性を指摘しやすかったりします。
悪いところ、直せるところなどがあった場合いいやすいというメリットがあります。
程度によりますが言いたいことを遠慮するよりも言いたいことをしっかり言いあえるほうがお芝居をつくる時に重要になってきたりします。
またお互いどういう人間かをある程度知っておいたほうがいいお芝居がしやすいです。
仲が良い場合、そして付き合いが長い場合は相手がどのようにお芝居をするかなんとなくわかるので自分もそれにあわせて演技しやすいのです。
仲が悪いとお芝居は絶対うまくいかないのかというとそんなことは決してないのですが、
仲が悪い場合演技がうまくいきづらいんだなあということを知っているだけでもある程度対策をたてられたりします。
だからといって無理やり仲良くしようとしてもどこかで無理がでてきます。
なので仲良くしようというよりも、少しでも作品をよくしていこうという意識でいるほうがうまくいきやすいのではないかと思います。